米国株に投資するなら、高配当で安定した業績を誇る通信事業の大手ベライゾン(Verizon、VZ)は外せない銘柄です。しかし、通信市場は競争が激しく、5Gやコンテンツ事業などのイノベーションが求められる中、ベライゾンはどのような戦略をとっているのでしょうか?今回は、ベライゾンの事業内容や銘柄の基本データ、将来性などを分析してみます。
ベライゾンの事業内容
ベライゾンは、米国に本社を置く大手通信会社で、携帯電話やインターネット、固定電話などのサービスを提供しています。日本でいうところのNTTドコモやKDDIに相当する企業です。ベライゾンは、通信事業の中で唯一ダウ平均株価の30社にも選ばれており、投資家からの信頼も高いです。
ベライゾンの事業は、主に以下の2つに分けられます。
– ベライゾン・コンシューマー・グループ(Verizon Consumer Group)
– 個人や家庭向けの通信サービスを提供する部門です。携帯電話やインターネット、テレビなどのサービスが含まれます。ベライゾンの売上の約70%を占める最大の部門です。
– ベライゾン・ビジネス・グループ(Verizon Business Group)
– 企業や官公庁向けの通信サービスを提供する部門です。ネットワークやセキュリティ、クラウドなどのサービスが含まれます。ベライゾンの売上の約30%を占める部門です。
ベライゾンは、2017年にインターネット事業を手掛けるYahooを買収し、メディアや広告事業にも進出しましたが、2021年に投資ファンドに売却し、事業から撤退しました。現在は、通信・インターネット事業に注力しています。
ベライゾンの銘柄の基本データ
ベライゾンの銘柄の基本データは、以下の通りです。
– 株価:$54.32(2024年2月16日時点)¹
– 市場時価総額:$224.6B¹
– 配当利回り:6.67%¹
– PER:12.8¹
– PBR:3.2¹
– ROE:25.1%¹
ベライゾンの株価は、過去10年間でほぼ横ばいで推移しています。しかし、配当利回りは6%以上と高く、安定したキャッシュフローを生み出しています。PERやPBRは低く、割安感があります。ROEは高く、資本効率が良いです。
ベライゾンの将来性
ベライゾンの将来性を見るには、以下の2つの観点が重要です。
– 5Gの展開
– コンテンツ事業の戦略
5Gの展開
5Gとは、次世代の高速・大容量・低遅延の通信技術のことです。5Gは、スマートフォンやIoT、自動運転などの分野で革新的なサービスを提供する可能性があります。5Gは、通信事業の成長を牽引する重要な要素です。
ベライゾンは、5Gの展開に積極的に取り組んでいます。2018年には、世界初の5Gホームサービスを開始しました。2019年には、世界初の5Gスマートフォンサービスを開始しました。2020年には、全米の60%以上の人口がカバーされる5Gネットワークを構築しました。2021年には、5Gの超高速ネットワークを全米の230以上の都市で提供しました。
ベライゾンは、5Gの技術力やネットワーク品質において、ライバルのAT&TやT-Mobileに優位に立っています。5Gの需要が高まるにつれて、ベライゾンの収益やシェアも増加すると期待されます。
コンテンツ事業の戦略
コンテンツ事業とは、動画や音楽、ゲームなどのメディアやエンターテイメントのことです。コンテンツ事業は、通信事業と相乗効果があると考えられています。コンテンツ事業によって、通信サービスの付加価値を高めたり、顧客の囲い込みを強化したりできます。
ベライゾンは、コンテンツ事業において、以下の2つの戦略をとっています。
– パートナーシップの強化
– ディスカバリーの買収
パートナーシップの強化
ベライゾンは、コンテンツ事業の大手とパートナーシップを結んでいます。例えば、以下のような取り組みがあります。
– ディズニーと提携して、ディズニープラスやESPNプラスなどの動画配信サービスをベライゾンの顧客に無料で提供しています。
– アップルと提携して、アップルミュージックやアップルTVプラスなどの音楽や動画配信サービスをベライゾンの顧客に無料で提供しています。
– アマゾンと提携して、アマゾンプライムビデオやアマゾンミュージックなどの音楽や動画配信サービスをベライゾンの顧客に無料で提供しています。
これらのパートナーシップによって、ベライゾンは、自社でコンテンツを作る必要がなく、コストを抑えつつ、顧客に魅力的なサービスを提供できます。また、顧客の満足度やロイヤリティも高めることができます。
配当と配当性向
ベライゾンは、高配当かつ増配を続ける銘柄として知られています。同社は、2021年9月に1株当たりの四半期配当を0.6275ドルから0.64ドルに2%増配し、15年連続の増配となりました。これにより、年間配当は2.56ドルとなり、配当利回りは約4.8%となります。これは、S&P500指数の平均配当利回りの約2倍です。
ベライゾンの配当性向は、2020年の純利益に対して約55%となっており、安定した配当の支払い能力を示しています。また、同社は2020年に約170億ドルの自由キャッシュフローを生み出しており、そのうち約100億ドルを配当に充てています。つまり、自由キャッシュフローに対する配当性向は約60%となっており、配当の持続性や増配の余地も十分にあります。
まとめ
ベライゾンは通信事業以外もクラウドやM2M(Machine to Machine)事業も手掛けていることから、さらなる成長が見込めるため、デフェンシブな銘柄として持っておきたい銘柄の一つといえるでしょう。通信事業の中で唯一ダウ平均株価の構成銘柄にも選ばれており、投資家からの信頼も高い銘柄となっています。
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