— どんな仕事に繋がる?何を学ぶ?次に取るべき認定は?このページでは、AIF-C01取得直後に押さえるべき「職種の狙いどころ」「経歴に書ける成果物」「90日ロードマップ」をまとめます。
AWS Certified AI Practitioner(AIF)で“証明できること”
対象者像:AI/MLや生成AIの活用に関わるビジネス/IT職(事業企画、PM/プロダクト、マーケ、営業、IT管理、CS など)。自ら高度な実装は行わないが、ユースケース選定と意思決定に関わる立場を想定。
- 試験の基本:65問 / 90分 / 受験料 $100、テストセンター or オンライン監督。認定の有効期限は3年。
- 出題領域(比率の目安)
- AI/MLの基礎(約20%)
- 生成AIの基礎(約24%)
- 基盤モデルの活用(約28%)
- Responsible AI(約14%)
- セキュリティ/コンプライアンス/ガバナンス(約14%)
- 明確な非対象:モデル実装・パラメータ調整・MLOps基盤の構築など“手を動かす開発”は範囲外。実装チームと連携できる理解と判断力の証明に重きがある。
取得後に狙えるロールと“勝ちパターン”
1) 事業/プロダクト寄り
ロール例: プロダクトマネージャー、事業企画、データ利活用PM
- ミッション: ユースケース選定、KPI/ROI設計、責任あるAIの設計判断、コスト/ガバナンス方針の策定
- 勝ちパターン: Bedrockと既存SaaSを繋いだ小さなPoC → 数値での効果検証 → 社内展開
- ミニPoC例: FAQ/規程集のRAGボット(S3+Knowledge Bases on Bedrock+Lambda)、議事録要約(Transcribe→Comprehend→Bedrock)、多言語要約/翻訳(Translate/Bedrock)
2) セールス/プリセールス/CS
ロール例: ソリューション営業、アカウントSE、カスタマーサクセス
- ミッション: ユースケース→要件→アーキ案→概算の一気通貫提案、責任あるAI/安全性の論点整理
- 勝ちパターン: 試算テンプレ(トークン/推論スループット/キャパ・SLA)+ ガードレール設計の標準パッケージ化
3) IT企画/情報システム/データガバナンス
ロール例: IT戦略、データ管理、セキュリティ/リスク管理
- ミッション: Shared Responsibilityの適用、データライフサイクル、監査証跡、プロンプト/モデルの逸脱対策
- 勝ちパターン: 生成AI利用ポリシーとモデル選定基準(透明性/説明可能性/コスト/地域/性能)を社内標準化
職務経歴書に書ける“実務成果物”テンプレ5選
- 社内ナレッジRAGボット: S3保管のPDF/Confluenceをインデックス → Bedrockで回答。例:問い合わせ平均応答時間を−60%。
- 議事録→要約→タスク抽出パイプライン: Transcribe+Bedrock+EventBridge。会議時間短縮や反訳外注費の削減をKPI化。
- 多言語CS返信案ジェネレーター: Comprehendで感情/要約 → Bedrockで丁寧語テンプレ生成 → エージェント化。
- ガードレール・ポリシー: Prompt injection/越権要求対策、PIIマスキング、ログ/データ来歴(ラインジ)整備。
- モデル選定ガイド: コスト/レイテンシ/多言語/カスタマイズ性の評価表を作成し、ユースケース別に推奨モデルを定義。
90日“スキル定着”ロードマップ
0–30日:基礎の棚卸しとResponsible AIの強化
- 公式試験ガイドで領域別の弱点を棚卸し(特にResponsible AI/セキュリティ)。
- AWS EducateのAIF学習パスで生成AI基礎を補強(無料中心)。
31–60日:小規模PoCを2本実装しKPIで効果測定
- RAGと要約系のPoCを構築し、時間短縮/コスト削減などのビジネスKPIで評価。
- 社内ユーザに公開してフィードバックを収集、改善サイクルを明文化。
61–90日:運用標準化と役割分担(RACI)の確立
- ガードレール、ログ、監査証跡、データ保持/削除のルールを文書化し標準運用を定義。
- 実装チームと「ビジネス/実装」の役割分担(RACI)を決め、引継ぎ計画を作成。
面接で効く“語彙・視点”チェックリスト
- 生成AIの限界と対策: ハルシネーション/再現性/説明可能性 → プロンプト設計、評価指標、RAG、ガードレールでどう緩和?
- ガバナンス/コンプラ: データ来歴・保管/削除・監査証跡、外部規格(ISO/SOC等)をどう設計する?
- コスト設計: トークン課金/推論スループット/待ち行列の観点と、SLA/UXのバランス。
学習/準備に役立つ“公式系”リソース
- AWS公式:AIF-C01試験ページ(概要、対象者、費用、受験方法)
- AWS公式:AIF-C01試験ガイド(PDF:出題領域・比率、Responsible AI/セキュリティの要点)
- AWS公式トレーニング:一日集中の試験対策(Classroom)
- AWS Educate:AIF向け学習パス(新規クラウド学習者向けの無償コンテンツ)
- 再認定ポリシー:全認定の有効期限は3年
次の一手(認定編)
- ビジネス×アーキ連携を強化 → Solutions Architect – Associate(SAA-C03)
- アプリ/自動化の理解を深める → Developer – Associate(DVA-C02)
- データ基盤に踏み込む → Data Engineer – Associate(DEA-C01)
- MLの運用寄り実装まで視野 → Machine Learning Engineer – Associate(MLA-C01)
よくある誤解
- 「AIF=実装スキル証明」ではない: 実装はスコープ外。ユースケース選定・評価・責任あるAI・セキュリティ/ガバナンスを説明し、意思決定できることが価値。
- 「資格だけで転職可能?」: AIFは入口。上流設計やKPI設計、ミニPoCの実績とセットで市場価値が高まる。
まとめ
AIF-C01は、AI/生成AIを安全に・価値ある形で事業へ落とし込む力を示すファーストステップの認定です。 取得後は「小さなPoCで効果を見せる → ガバナンス/コスト設計を言語化 → 関連Associateで専門性を伸ばす」という流れが、最短でリターンに繋がります。
FAQ
- Q. AIFは未経験者に有利? A. 実装よりも企画・ガバナンスの理解を示す認定。入口資格として有効。
- Q. CLFとどちらが先? A. AWS全体の基礎はCLF、AI活用の基礎はAIF。目的に合わせて選択。
- Q. 転職では何を見られる? A. PoCの成果、KPIの改善、責任あるAI・セキュリティ設計の言語化。
- Q. 次の推奨認定は? A. SAA/DVA/DEA/MLAのいずれか(ロール次第)。
よければこちらも: キャリア別AWS資格順序
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