AWS Certified Cloud Practitioner(CLF)を取得した後、次に何を学び、どのロールを目指すべきかを実務目線で整理しました。
強みを職務スキルへ翻訳する方法、
次に取るべき認定、
90日アクションプランまでを一気通貫で解説します。
1) CLFの価値を“職務スキル”へ翻訳する
CLFは、AWSの主要サービスや責任分界、料金の基本を
ビジネスと技術の言葉で説明できることを示す入口資格です。ここから先は「知っている」を「使える」に変換し、現場での会話・意思決定・手順化へ落とし込みます。
- 用語 → 会話: サービス名の暗記ではなく、適材適所や責任分界・費用感まで含めて説明する。
- 会話 → 成果物: 参照アーキ図、運用ハンドブック、コスト試算など「形のある資産」にする。
- 成果物 → 実績: ポートフォリオ化し、社内外の信頼(可視化)につなげる。
2) 典型キャリアルートと「次に取るべき認定」
ルートA:技術コア(設計・開発・運用)
- 次の認定: Solutions Architect – Associate(SAA)/ Developer – Associate(DVA)/ SysOps Administrator – Associate(SOA)/ Data Engineer – Associate(DEA)
- 狙う職務: クラウド設計・IaC・監視運用・データ基盤構築
- 伸ばす領域: VPC設計、IAM運用、サーバレス(Lambda/Fargate)、データ基盤(S3/Glue/Redshift/Athena)
ルートB:ビジネス/カスタマー(セールス・CS・FinOps)
- 次の認定/学習: コスト管理(Cloud Financial Management相当の知識体系)
- 狙う職務: クラウド営業、パートナー推進、FinOps(コスト最適化/配賦/統制)
- 伸ばす領域: コスト配賦、Savings Plans/RIの評価、予算・フォーキャスト運用
ルートC:AI/データ志向(生成AI・MLの実務活用)
- 次の認定: AWS Certified AI Practitioner(AIF)
- 狙う職務: AIプリセールス、PoC支援、LLM活用提案、データ可視化/分析基盤
- 伸ばす領域: BedrockやSageMakerの使い分け、データ前処理と評価指標
3) ロール別スキルマップ(仕事に効く要素)
- アーキ志向(SAA): 要件→非機能(可用性/コスト/運用)→参照アーキ。Well-Architectedの観点で意思決定理由を説明。
- 開発志向(DVA): サーバレス設計、イベント駆動、認証基盤(Cognito/IAM)と可観測性の整備。
- 運用志向(SOA): 監視(CloudWatch)、監査(CloudTrail)、構成管理(Config)の役割分担を運用手順に落とす。
- データ志向(DEA): レイク/ウェアハウス設計、ETL/ELTのオーケストレーション、データ品質とライフサイクル管理。
- FinOps志向: コスト計画・配賦・最適化の原則とガバナンス(部門間ルール、償却、タグ/アカウント戦略)。
4) 取得後90日のアクションプラン
Day 0–30|職務に直結する“1枚絵”を作る
- 現職や想定ユースケースを題材に参照アーキ図(コスト試算付)を作成。
- CloudWatch+CloudTrail+Configで運用ハンドブック(3ページ)を雛形化。
- 成果物はポートフォリオ化して社内外で共有。
Day 31–60|次認定の学習&小さな実装
- 技術: VPC設計→IaC(CDK/Terraform)で最小構成を反復。
- FinOps: Cost ExplorerとSavings Plans評価の社内手順ドラフトを作成。
- AI/データ: Bedrock/SageMakerの使い分けメモを整備(AIF接続)。
Day 61–90|外向き実績の見える化
- CredlyのデジタルバッジをLinkedIn/Xで共有。
- 技術ブログやQiitaで「設計→コスト→運用」の一連を記事化。
- 社内勉強会で発表し、プロジェクト参画の機会を広げる。
5) 更新・特典・コミュニティ活用
- 有効期限: AWS認定は通常3年。失効前に再認定(更新)を計画。
- 特典: デジタルバッジ、次回試験割引、イベント参加メリットなどを活用。
- コミュニティ: ユーザーグループ/勉強会/SME(試験開発ボランティア)で見聞を広げる。
6) ロール別“成果物テンプレ”チェックリスト
- アーキ: 参照アーキ(可用性/コスト/運用の根拠つき)、セキュリティ境界図、バックアップ/DR方針
- 開発: API仕様 → CI/CDパイプライン → 可観測性設計
- 運用: 監視プレイブック、障害SOP、コスト監視ダッシュボード
- データ: データモデル図、パイプラインDAG、DQ(Data Quality)ルール
- FinOps: 部門別配賦ルール、最適化レポート(月次)、Savings Plans運用ポリシー
7) 次に進むための学習リソース(公式中心)
ロール別の学習パスやトレーニング、模擬試験などの
公式リソースを入口に据えると最短で必要知識に到達できます。社内制度(資格手当・学習補助)があれば併用しましょう。
- 認定の全体像と学習パス(ロール別・レベル別)
- Skill Builder(公式トレーニング)/Ramp-Upガイド
- アソシエイト各認定の試験ガイドとサンプル問題
- データ/A I領域はDEA/AIFのガイドで出題範囲を確認
まとめ
CLFは“会話できるクラウド人材”の入口といえます。
次はロール別に成果物を積み上げ、90日で「成果物 → 発信 → 認定」のループを回す。これが最短で市場価値に直結する道筋です。
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