「どの資産をどれだけ持てば最も効率的か?」
投資家なら誰もが知りたい問いに答えるのが、ハリー・マーコビッツによって体系化された
現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory:MPT)です。
本記事では、平均分散法・効率的フロンティア・最適ポートフォリオ・リスク許容度による配分、さらに個人投資家が実践できる「株×債券の割合」「リスクパリティ」「新NISA活用」まで徹底解説します。
1. 平均分散法(マーコビッツモデル)
① 平均分散法とは?
平均分散法とは、ポートフォリオの期待リターン(平均)とリスク(分散・標準偏差)に基づき、
資産の最適な組み合わせを求める理論です。
- リターンはできるだけ高く
- リスクはできるだけ小さく
この「2つの軸」のバランスが最も“効率的”になる点を求めていきます。
② マーコビッツモデルの基本式
マーコビッツはポートフォリオのリスク(分散)を次の式で表しました。
ポートフォリオ分散 = wA²σA² + wB²σB² + 2 × wA × wB × 共分散
この式の特徴は「異なる資産の相関(共分散)が重要である」という点です。
相関が低い資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクは大幅に下がります。
③ 効率的フロンティアとは?
効率的フロンティア(Efficient Frontier)とは、
「同じリスクで最も高いリターンを実現できるポートフォリオの集合」です。
- 右上にいくほど高リターン・高リスク
- 左下にいくほど低リスク・低リターン
- フロンティア上=最も合理的で“無駄のない”組み合わせ
投資家は本来、このフロンティア上のポートフォリオから選ぶべきであり、それ以外の点は「非効率」とされます。
2. 最適ポートフォリオ
① 投資家の効用関数とは?
効率的フロンティア上には無数のポートフォリオがありますが、どれが最適かは投資家のリスク許容度で決まります。
それを数学的に表したものが「効用関数」です。
一般的な効用関数の形は次のとおりです。
効用 = 期待リターン − (リスク許容度 × 分散)
- リスク許容度が高い → リスクの大きい高リターンを選ぶ
- リスク許容度が低い → 安定重視のポートフォリオを選ぶ
② リスク許容度別の最適ポートフォリオ
フロンティア上には、次のようなタイプが存在します。
- 保守的(低リスク)タイプ:債券・ディフェンシブ株が多い
- 平均的(中リスク)タイプ:株式と債券をバランスよく
- 積極的(高リスク)タイプ:株式比率を高める(特に米国株)
どれが「正解」ではなく、投資家自身の性格・収入・年齢・運用目的から最適な点が決まります。
3. 実務的な活用(個人投資家にも使えるMPT)
① 株×債券の割合(最も現実的な MPT の使い方)
個人投資家が最も使いやすい応用が、株と債券の比率を決める方法です。
- 株式:リターンが高いが不安定
- 債券:リターンは低いが安定しやすい
例えば、以下のような分類があります。
- 株式 80% × 債券 20%:攻め
- 株式 60% × 債券 40%:標準
- 株式 40% × 債券 60%:守り
株と債券は一般に「相関が低い」ため、組み合わせることでリスクが下がるのがMPTが導く結果です。
② リスクパリティという考え方
リスクパリティとは、「資産の金額配分ではなく、リスク貢献度を均等にする」考え方です。
- 株式の方が債券よりリスクが大きい → 同じ額を入れてもリスク貢献が偏る
- リスクパリティでは“リスクが同じになるように”株と債券の比率を調整する
一般的には、債券比率が思っている以上に高くなることが多いです。
(例:株 30%、債券 70% など)
この手法は機関投資家で用いられるほか、個人でも「ポートフォリオの安定化」に役立ちます。
③ 新NISAで活かす方法
新NISAでは以下の観点が重要になります。
- 成長投資枠は株式中心でリスク高め
- つみたて投資枠は低コストインデックス中心で安定
MPTを使うと、次のような構成が合理的だと説明できます。
- 米国株(VTI・S&P500・NASDAQ)
- 全世界株(VTなど)
- 債券(BND・AGG または日本債券)
株式だけではなく、債券や低相関資産を一定割合組み込むことで、
価格下落時の揺れを抑え、長期成長性を維持することが可能になります。
まとめ
現代ポートフォリオ理論(MPT)は、「リスクを最小化しながらリターンを最大化する」ための科学的な手法です。
- 平均分散法は資産の組み合わせを数式で最適化する
- 効率的フロンティアは“無駄のない”最適な組み合わせの集合
- 最適ポートフォリオは投資家のリスク許容度により決まる
- 株×債券の比率やリスクパリティは個人投資家でも活用可能
- 新NISAでも長期のリスク管理に極めて有効
次の記事では「CAPMとファクターモデル」について解説し、資産の期待リターンの“決まり方”を整理していきます。
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