【金融工学入門】CAPMとファクターモデルをわかりやすく徹底解説|ベータ・リスクプレミアム・スマートベータETFまで理解

金融工学

金融工学では、資産の期待リターンは「どんなリスクを取ったか」によって説明できると考えます。その代表的な理論がCAPM(資本資産評価モデル)ファクターモデルです。

本記事では、株式リターンの決まり方、ベータの意味、ファクターモデルの拡張、さらにスマートベータETFや個人投資の実務での活用まで体系的に解説します。

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1. CAPM(Capital Asset Pricing Model)とは?

① CAPMの目的

CAPMは、資産の期待リターンを1つのリスク指標「β(ベータ)」で説明するモデルです。
最もシンプルでありながら、現代投資理論の基礎を支える重要な仕組みです。

  • どれだけ市場全体の動きに連動するか(=市場リスク)を測る
  • リスクを取るほどリターンが高くなると仮定
  • 個別企業の“固有のリスク”は分散可能→理論的には報われない

② CAPMの基本式

CAPMの式は次のとおりです。

期待リターン=無リスク利子率+β ×(市場リスクプレミアム)
  • 無リスク利子率:米国短期国債など
  • β:市場全体に対する感応度(後述)
  • 市場リスクプレミアム:市場全体の期待リターン – 無リスク利子率

③ β(ベータ)とは何か?

βは「市場全体が1%動いたとき、この銘柄が何%動くか」を表す指標です。

  • β = 1:市場と同じように動く(典型的な大型株)
  • β > 1:市場より大きく動く(ハイテク株・成長株)
  • β < 1:市場より安定的(生活必需品・高配当株)

例:

  • QQQ(NASDAQ100):β ≒ 1.2〜1.3(変動が大きい)
  • KO(コカ・コーラ):β ≒ 0.6(ディフェンシブ)

βが高いほどリスクが大きく、CAPMではリターンも大きくなると考えます。

2. CAPMの限界とファクターモデルへの発展

① CAPMの限界

CAPMはシンプルでわかりやすいですが、実際のデータでは説明できない現象が存在します。

  • 小型株の方がリターンが高くなりやすい(サイズ効果)
  • 割安株の方が高リターンになりやすい(バリュー効果)
  • 成長株とバリュー株でリスクが同じではない

このように、βだけではリターンの差を説明しきれないという課題からファクターモデルが登場しました。

3. Fama-French 3ファクターモデル

① モデルの概要

ファクターモデルは、株式のリターンを「複数のリスク要因(ファクター)」で説明する考え方です。
最も有名なのがFama-French 3ファクターモデルです。

3つのファクターは次のとおりです。

  • 市場(Market):市場全体の動き(CAPMのβ)
  • SMB(Size):小型株の優位性(Small Minus Big)
  • HML(Value):割安株の優位性(High Minus Low)

このモデルが示した重要な結論は
「株式リターンは、市場・サイズ・バリューの3要因で説明できる」ということです。

② 5ファクターモデルへの拡張

その後、収益性と投資(資本の積極性)を加えた5ファクターモデルが登場しました。

  • ROEや収益性が高い企業はリターンが高くなる傾向
  • 積極的に投資する企業(資本支出が大きい)はリターンが低くなる傾向

ファクターモデルは、ETFの設計にも利用されています。

4. スマートベータ投資との関係

① スマートベータとは?

スマートベータETFは、伝統的な時価総額加重ではなく、
「特定のファクターを狙って高リターンを期待する」 ためのETFです。

  • 低ボラティリティ(USMV)
  • 高品質(QUAL)
  • モメンタム(MTUM)
  • バリュー(VTV)
  • 小型株(IJRなど)

ファクターモデルに基づいた理論が、実務では「スマートベータETF」として形になっています。

5. 個人投資家における実務活用

① CAPMは「市場平均に勝とうとしない」投資の根拠になる

CAPMに従えば、市場全体のリターン(β=1)を長期で上回るのは極めて難しいとされます。

したがって:

  • インデックス投資(S&P500や全米株)の合理性が説明できる
  • 市場平均を得たいなら低コストETFが最適という結論になる

② ファクターETFの選択に使える

ファクターモデルを理解していると、次の判断ができるようになります。

  • 自分はどのファクターに賭けるべきか?
  • 長期なら品質(QUAL)・モメンタム(MTUM)なども有力
  • バリュー・小型株は景気循環に応じて優位性が変わる

③ 新NISAにも応用できる

  • 成長投資枠:ファクターETF(高成長・モメンタム系)
  • つみたて枠:S&P500・全米・全世界などβ=1の王道指数

ファクターモデルは、「どのETFを長期で持つべきか」という実務的な問いに答える強力なヒントになります。

まとめ

本章では、CAPMとファクターモデルを通して、資産のリターンがどのように決まるかを解説しました。

  • CAPMは市場リスク(β)だけでリターンを説明するモデル
  • ファクターモデルは複数のリスク要因でより精緻に説明する
  • スマートベータETFはファクターモデルを実践した商品
  • 市場平均を得たいならインデックス投資が合理的
  • 新NISAのETF選択にも応用可能

次の記事では、オプションや先物を理解するために欠かせないデリバティブの基礎を解説します。

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