「SAAは取った。次は何を極めるべき?」に、公式情報をもとに明快に答えます。
認定の有効期限(3年)や再認定オプション、プロ/スペシャリティ/新設Associateの歩き方、国内の年収感、90日成長プラン、ポートフォリオ戦略まで網羅しました。
1. SAA取得後に広がるロール
Associateは「アーキテクチャ設計の基礎ができる」ことの証明です。
実務では、要件定義〜高レベル設計(HLD)〜低レベル設計(LLD)〜実装ガイダンス〜コスト/セキュリティ評価までを一気通貫で支える役割が期待されます。(試験はアーキ設計の役割に沿って設計されます)
- ソリューションアーキテクト(事業会社/受託/SaaS):新規/既存システムのクラウド設計、PoC主導、移行計画、レビュー。
- プリセールス/テクニカルアーキ:提案段階の要件詰め、見積り、リスク・コスト評価、WAFR(Well-Architectedレビュー)。
- クラウドエンジニア(実装寄り):IaCでの環境構築、パイプライン、運用の仕組み化(SRE/FinOpsと連携)。
アーキ観点の共通言語は「AWS Well-Architected Framework」。6本柱(運用/セキュリティ/信頼性/性能効率/コスト最適化/サステナビリティ)で意思決定を説明できると、評価が一段上がります。
2. 市場価値・年収の目安(日本を含む)
世界的にもAWS認定は供給過少の技能証明で、2025年1月時点で有効なAWS認定は142万超。需要の高さは依然堅調です。
日本の事例(参考):Amazon(AWS/企業側SA)の公開報酬データでは、総報酬中央値 約1,750万円(L4〜L7で約1,083万〜4,358万円のレンジ)。あくまで一社の例ですが、上限値・評価軸の目安になります。
- SaaS/スタートアップ:スキル幅(IaC/データ/セキュリティ)と事業貢献度でレンジが広がる。
- SI/コンサル:提案〜実装〜運用のバリューチェーンでの位置付けと案件規模が年収に直結。
- 社内アーキ:全社横断のプラットフォーム/FinOps推進で評価されやすい。
3. 次に狙うべき認定(ロードマップ)
(A)アーキを極める:Solutions Architect – Professional(SAP-C02)
大規模・複雑要件(マルチアカウント/多地域/ハイブリッド/移行)を扱うなら最優先。再認定の観点でも、Associateは3年有効で、最新SAA再取得 or SAP合格で更新できます。
(B)DevとOpsを横展開:DevOps Engineer – Professional(DOP-C02)
CI/CD・監視・オペレーション自動化・耐障害性設計を横断的に証明。SRE/プラットフォームエンジニア路線に強い。
(C)運用ドメインを強化:CloudOps Engineer – Associate(SOA-C03)
旧SysOpsの後継。2025年9月30日 試験開始(登録開始は9月9日)予定。SREや運用統括での評価に直結。
(D)データ/AIを足す:Data Engineer – Associate / ML Engineer – Associate
2024年にData Engineer – Associateが登場、2025年時点でML Engineer – Associateもラインナップ。アーキ+データ基盤/ML運用の掛け算は市場価値が高い。
(E)守りを固める:Security – Specialty
ゼロトラスト、暗号化、脅威検出、コンプライアンス。金融/公共/エンタープライズで特に強い武器。
4. SAA後に伸ばすコアスキル(実務で効く)
- Well-Architectedの6本柱を説明→設計判断に落とす力(レビュー/改善提案の言語化)。
- IaC × パイプライン:CDK/Terraformでの再現性、差分管理、ガードレール(lint/ポリシー/署名)。
- ネットワークとアイソレーション:VPC設計、L7/L4、PrivateLink/VPC Lattice/Transit Gatewayの使い分け。
- FinOps:コスト見積り、SLA/非機能に対する費用対効果の説明。
- データ基盤/AIの前提知識:レイクハウス/ETL/特徴量、責務分離、コストガバナンス。
- セキュリティ:KMS、IAM境界、脅威モデリング、組織/アカウント分離と委任。
5. ポートフォリオで差別化する(面接で刺さる作り方)
GitHub/記事/登壇スライドの3点セットで「設計→自動化→運用→コスト/リスク説明」まで一気通貫を見せます。
- モダンWebの参照実装:ALB+ECS/Fargate or Lambda/APIGW+DynamoDB。IaC/CI/CD付き。
- マルチアカウント標準基盤:AWS Organizations/Control Tower、アカウント分離、監査/ログ集中、Budget/タグ戦略。
- サーバーレスイベント駆動:EventBridgeで疎結合。失敗リトライ/デッドレター/運用メトリクス。
- データ分析ミニ基盤:S3+Glue/Athena+QuickSight。ガバナンス/コスト最適化の工夫を説明。
- アーキ図は公式スタイルで:Architecture Centerのリファレンスを踏まえた図法・凡例。
6. 合格後90日アクションプラン(テンプレ)
Day 1–30:棚卸しと基礎固め
- 現職/社内の優先案件で「WAFR(Well-Architectedレビュー)」を1件やる。
- 主要構成(VPC, IAM, データ, サーバーレス)のIaCテンプレを整備。
- コストの見える化:Budgets/Cost Anomaly Detection/タグの是正。
Day 31–60:横展開と自動化
- CI/CDとセキュリティスキャン(ポリシー/脆弱性/署名)を標準化。
- 障害ゲームデイ(DR/性能/フォールトインジェクション)の実施。
Day 61–90:認定アップグレード準備
- アーキ深化ならSAP-C02のブループリントに沿って既存案件をリファクタ。
- Ops強化ならCloudOps Engineer – Associate(SOA-C03)の出題範囲に合わせ、運用KPIとRunbookを整備。
- データ/AI路線なら、Data Engineer – Associate / ML Engineer – Associateのハンズオンを開始。
7. 面接・社内登用で評価されるポイント
- 設計判断の根拠:Well-Architectedの柱で説明できるか(例:信頼性vsコストのトレードオフ)。
- 再現性:IaC/テスト/パイプラインで「同じ品質を何度でも」出せる仕組み。
- メトリクス思考:SLO/アラート/運用KPIが回っているか。
- 再認定計画:有効期限3年の前提で、上位/横展開の計画を語れるか。
- コスト説明力:見積根拠、オンデマンド/リザーブド/スポットの設計方針。
8. よくある質問(FAQ)
Q. 年収の相場感は?
A. 企業/職務/英語要件で大きく変動しますが、参考値としてAmazonの日本のSA総報酬中央値は約1,750万円との公開データがあります。
9. 受験対策テキスト(おすすめ)
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