【2025-26版】新興国ETFの教科書|EMXC・SCHE・VWO・IEMG・SPEM・DEMの“構造”で選ぶ

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新NISA時代の「新興国(EM)」は、中国の扱い・韓国の区分・配当課税の取り回しで成果が分かれます。
本ガイドは主要6本(EMXC/SCHE/VWO/IEMG/SPEM/DEM)を「指数設計×中国比率×韓国の取り扱い×コスト×配当税務」の軸で一気通貫で整理します。

最終更新:(数値は各運用会社/指数の最新資料に準拠)

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まずは早見表(指数・中国/韓国の扱い・コスト)

ティッカー 正式名 ベンチマーク 中国の扱い 韓国の扱い 直近の中国比率例 信託報酬(経費率)
EMXC iShares MSCI Emerging Markets ex China ETF MSCI EM ex China 除外 含む(MSCIは韓国=EM) —(ex-China) 0.25%
SCHE Schwab Emerging Markets Equity ETF FTSE Emerging Markets All Cap China A Incl. 含む(A株一部) 含まない(FTSEは韓国=先進) (FTSE系の例)約33% 0.07%
VWO Vanguard FTSE Emerging Markets ETF FTSE Emerging Markets All Cap China A Incl. 含む(A株一部) 含まない 約33%(例:32.8%) 0.07%
IEMG iShares Core MSCI Emerging Markets ETF MSCI EM IMI(大型〜小型) 含む(A株一部) 含む(MSCIは韓国=EM) 約27.8%(MSCI IMI) 0.09%
SPEM SPDR Portfolio Emerging Markets ETF S&P Emerging BMI 含む 含まない(S&Pは韓国=先進) 約30.4%(S&P BMI) 0.07%
DEM WisdomTree EM High Dividend WisdomTree EM High Dividend 含む 含む(独自分類) 約25.5%(ファンド実績) 0.63%

※中国比率は2025年6〜8月時点資料の例示。指数・市場環境により変動します。

なぜ今“構造”で選ぶのか

2025年は主要EM ETFのコストが最安水準に収斂(VWO/SCHE/SPEM=0.07%、IEMG=0.09%)。
差はわずかでも、指数設計(FTSE vs MSCI vs S&P)や韓国の区分中国A株の取り扱いでリターン・リスクのプロファイルは大きく変わります。
たとえばMSCIは韓国を新興国として組み入れる一方、FTSE・S&Pは先進国扱いのため、IEMG/EMXCは韓国を含むが、VWO/SCHE/SPEMは含まないという構造差が生まれます。
  • MSCI(IEMG/EMXC):韓国=EM、小型まで含むIMIで“裾野”まで拾う(IEMG)。
  • FTSE(VWO/SCHE):韓国=先進、A株は段階的組入れ、構成はやや“太め”の大中小。
  • S&P(SPEM):韓国=先進。国・セクター配分はFTSEに近似するが、ルール差で微妙なズレ。

中国:比率・規制・ガバナンスの論点

現在の代表インデックスにおける中国ウエイトは、MSCI EM IMI:約28%FTSE EM(VWOの例):約33%S&P Emerging BMI:約30%が目安です。
EM全体の牽引役である一方、VIE構造や監査アクセス(HFCAA)、当局規制といったガバナンス・政策リスクがパフォーマンスのボラティリティを押し上げる局面もあります。

EMXC(ex-China)はこの中国固有リスクを意図的に外し、台湾・インド・韓国の比重を高めるアプローチです。

国別/セクター重複の見極め方

IEMGとVWOは「広く浅く」似ている一方、韓国の有無と小型株の組入れで乖離が生じます。

2025年は韓国市場の寄与がIEMGの上振れ要因となった局面もあり、同じ“EM”でも韓国の扱いが結果を左右する年でした。FTSE系(VWO/SCHE)×S&P系(SPEM)は国・セクター配分が近い一方、細部のルール差で銘柄構成は完全一致しません。
EMXCはex-Chinaのため、他のEM ETFと重ねると「中国だけ二重に持つ/外す」といった歪みが起きやすく、配分設計に注意が必要です。
  • 重複を抑えるコツ:中核(Core)=IEMG or VWO系」「衛星(Satellite)=EMXC(中国切り出し)or DEM(配当)」と役割を分ける。
  • 韓国エクスポージャ:IEMG/EMXCは韓国を含み、VWO/SCHE/SPEMは含まない=先進国ETF(例:VXUS/VEA)との二重計上も要チェック
  • セクター:EM全体は金融・IT・資本財・素材の比重が高く、DEMは金融・エネルギーが厚くなりやすい。

為替・総コスト・配当課税の落とし穴

  • 為替:米ドル建てETF→円評価。EM現地通貨×USD×JPYの二重為替が効くため、円高局面は円建てリターンの逆風に。
  • 見えないコスト:信託報酬だけでなく、トラッキング差・売買スプレッド・現地課税が実質コストに影響。
  • 新NISAの盲点:NISA口座の米国籍ETF配当は日本では非課税だが、米国源泉(条約軽減あり)が残る。NISAでは外国税額控除が使えないため、米国源泉ぶんは戻らない点に注意。

主要6ETFのプロファイルと使い分け

EMXC(MSCI EM ex China / 0.25%)

中国リスクを切り離し、台湾・インド・韓国の“機動力”を高める中核/衛星ハイブリッド。 中国は別枠(個別/テーマ)で能動的に取りたい人向け。
  • 長所:政策/ガバの固有リスクを排除、地域分散の明確化
  • 留意:コスト高め(0.25%)、中国ラリー局面では取り逃し

関連記事:【2025版】新興国ETF:EMXC徹底分析|新興国×中国除外の実力

VWO / SCHE(FTSE EM / 0.07%)

最安クラスの王道EM。韓国を含まない点がMSCI系と最大の差。A株は段階的に組入れ。
  • 長所:コスト最安、運用規模・流動性が厚い(特にVWO)
  • 留意:韓国上振れ局面ではMSCI系に見劣りも

関連記事:【2025年版】新興国ETF:VWO徹底分析|新興国株の“王道”ETF

関連記事:【2025年版】新興国ETF:SCHE徹底分析|低コスト×FTSE方式で“ほどよく中国・韓国なし”の新興国コア

DEM(高配当 / 0.63%)

配当重視の“バリュー寄りEM”。中国・台湾・ブラジル・サウジ・南アなどが厚く、金融・エネルギーの比率高め。
  • 長所:インカム重視、景気持ち直し局面で相対強さ
  • 留意:指数がファンダ重視のため、グロース相場では弱含みやすい/コスト高

関連記事:【2025版】新興国ETF:DEM徹底分析|新興国高配当ETFの強み

用途別レシピ(組み合わせ例)

  • 中国リスクを抑えつつEMベータ:中核=IEMG 70% + EMXC 30%(相場に応じてEMXCを±)。
  • 最安コア:VWO or SCHE 単独。韓国エクスポージャは先進国ETF側で調整。
  • インカム寄り:VWO 70% + DEM 30%(景気循環で配分調整)。
  • 中印半導体/ITへの感応度を高めたい:IEMG(小型含む) or FTSE系+半導体個別/テーマを別枠で。

FAQ

韓国はEMに含まれますか?ETFで違いは? 指数によって異なります。MSCIは韓国=新興国(IEMG/EMXCは韓国を含む)。FTSE/S&Pは韓国=先進国(VWO/SCHE/SPEMは韓国を含まない)。

新NISAで米国籍のEM ETFを持つと配当は完全非課税? 日本では非課税ですが、米国源泉(条約で軽減)は残ります。NISA口座では外国税額控除が使えないため、その分は戻りません。

中国A株はどの程度組み入れられていますか? MSCI/FTSEともA株は段階的な部分組入れで、完全反映ではありません。制度・アクセスの変化に応じて長期的にウエイトは見直されます。

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