デリバティブ(Derivatives)は、株式や金利など“元になる資産=原資産”の価格に連動して価値が決まる金融商品です。
本記事では、先物・オプションの基本、ペイオフ図、組み合わせ戦略、そして投資家や企業がどのようにリスクヘッジに使うのかを解説します。
1. 先物・オプションとは
① デリバティブの基礎:権利と義務
デリバティブには「権利」と「義務」があります。
- 先物(Futures):将来の特定時点に、あらかじめ決めた価格で売買する“義務”が発生
- オプション(Options):将来の特定時点に、あらかじめ決めた価格で売買する“権利”だけがある(義務はない)
この「権利と義務の違い」が、デリバティブ理解の最重要ポイントです。
② コールオプション / プットオプション
オプションには2種類あります。
- コール (Call):一定価格で“買う権利”
- プット (Put):一定価格で“売る権利”
例えば「株価が上がると思う」→コールを買う、「株価が下がると思う」→プットを買う、という使い方が一般的です。
③ 実際のオプション価格表の読み方(CME等)
代表的なオプション市場として、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の例を使います。
- Strike(権利行使価格):買う/売ることができる価格
- Last(最後に取引された価格):オプションの市場価格
- Bid / Ask:買い気配・売り気配
- Volume:当日の出来高
- Open Interest:未決済ポジションの数
初心者が注目すべきはStrike(権利行使価格)とLast(価格)、そして取引量(Volume)です。
取引量が少ないオプションはスプレッドが広く、売買が不利になることがあります。
2. ペイオフ図で理解する(視覚的理解)
デリバティブの理解に最も役立つのがペイオフ図(Payoff Diagram)です。
これは「満期日に株価がいくらの時、利益はどうなるか」を表した線図です。
① コールオプションのペイオフ
コールを買う場合の利益は次のようになります。
- 株価が行使価格を上回れば利益が無限大に上昇
- 株価が行使価格を下回れば損失は“プレミアム(オプション価格)”だけ
= 上方向に強い(株価上昇に賭ける)構造です。
② プットオプションのペイオフ
プットを買う場合の利益は以下のとおりです。
- 株価が下がるほど利益が増える
- 株価が行使価格以上なら損失はプレミアムのみ
= 下方向に強い(株価下落に賭ける)構造です。
③ ストラドル(Straddle)などの組み合わせ戦略
ストラドルは、同じ権利行使価格でコールとプットを両方買う戦略です。
- 株価が大きく上下すれば利益が出る
- 株価がほとんど動かないと両方ともプレミアム分の損失になる
= 値動きの“方向”ではなく“変動の大きさ(ボラティリティ)”に賭ける戦略です。
イベント前(決算、政策発表など)に使われます。
3. リスクヘッジとしてのオプション活用
オプションは投機だけでなく、実務ではリスクヘッジ(損失の防止)として非常に多く使われています。
① プロテクティブ・プット(守りのプット)
プロテクティブ・プットとは、株式を保有しつつ、同じ数量のプットオプションを買う戦略です。
例:
- A社株を100株保有
- 同じA社株の「プット」を購入
株価が急落してもプットによって損失がほぼ限定されるため、“保険を買う”ようなイメージのヘッジ方法です。
② なぜ企業はオプションを使うのか?(実務例)
企業は以下のようなリスクをヘッジするためにオプションを使います。
- 為替リスク:輸出入企業が為替変動を抑えるため
- 金利リスク:借入金利の変動を抑えるため
- 商品価格リスク:原油・金属・穀物の価格変動ヘッジ
例:航空会社は「燃料ヘッジ」として原油のオプションを購入します。
- 原油価格が上がれば → オプションで利益 → 燃料費高騰を相殺
- 原油価格が下がれば → 燃料費が安くなる → オプションの損失は限定
“不利な方向に動いた場合だけ守ってくれる保険”として、オプションは非常に広く利用されています。
まとめ
本記事では、デリバティブの中でも最も重要な「先物・オプション」の基礎を扱いました。
- 先物は“義務”、オプションは“権利”が発生
- コール=買う権利、プット=売る権利
- ペイオフ図を使うと利益構造が直観的に理解できる
- ストラドルは「値動きが大きい」イベントに強い戦略
- 企業も広くオプションをリスクヘッジに活用している
次の記事では、オプション価格の決定理論であるブラック=ショールズ方程式について解説します。
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