2024年から恒久化された新NISAは、つみたて投資枠(年120万円)+成長投資枠(年240万円)=年360万円、生涯非課税枠は1,800万円(うち成長投資枠は上限1,200万円)に拡大しました。
ETFは主に「成長投資枠」で活用でき、国内上場ETFに加え、証券会社経由で米国ETFなど海外ETFも成長投資枠の対象として取引可能です。
今回の記事では、制度の「最新の実態」に合わせて2025年時点の対象と注意点を整理します。
まず結論:新NISA(成長投資枠)でETFはこう使う
- 対象の広さ: ETFは原則「成長投資枠」で購入可。国内上場ETF(東証)に加え、証券会社の取扱がある場合は米国ETFなど海外ETFも対象。代表例として
VOO、QQQなどが成長投資枠で取引可能(証券会社の対応要確認)。 - 対象外の代表例: 毎月分配型、信託期間20年未満、高レバレッジ等デリバティブを用いた一定の商品は対象外(レバレッジ型ETF/投信は不可)。
- 配当の注意: ETFの配当(分配金)を非課税で受けるには、証券口座の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する。
- 枠のルール: 年360万円(つみたて120+成長240)、生涯1,800万円(うち成長1,200万円)。売却で翌年に非課税枠が復活する再利用ルールも押さえる。
国内上場ETF(東証)の代表例(成長投資枠対象)
東証はETFの全銘柄リストとともに、NISA成長投資枠対象銘柄(内国ETF/外国ETF-JDR等)への導線を提供。
以下は2025年時点で個人投資家に人気/理解しやすい指数の代表例です(信託報酬や細目は各ページで確認)。
| カテゴリ | 指数 | 代表ティッカー(東証コード) | メモ |
|---|---|---|---|
| 日本株 | TOPIX | 1306(野村TOPIX)、1475(iシェアーズTOPIX)等 | 日本の広範囲な時価総額加重指数。低コストが充実。 |
| 日本株 | 日経平均 | 1321(NF日経225)、1346(MAXIS日経225)等 | 価格加重。配当込み連動型もあり。 |
| 米国株 | S&P500(円換算) | 1547、2521(為替ヘッジ有)など | 東証上場の米株指数型。為替ヘッジ有無を選択可。 |
| 米国株 | NASDAQ100(円換算) | 2568(無ヘッジ)、2569(ヘッジ有) | 大型グロース比重が高い代表指数。 |
| 債券 | 米国債 期間別 | 2255(20年超)ほか iシェアーズ東証上場シリーズ | 債券ETFも成長投資枠に対応。ヘッジ有商品も拡充。 |
| REIT | 東証REIT指数 など | 各種J-REIT ETF | 不動産分散として活用可(対象一覧は証券会社のNISAページやJPX参照)。 |
さらに網羅的な対象一覧は、投資信託協会(成長投資枠の届出一覧)やJPXの銘柄ページで最新ファイルを確認するのが確実です。
海外ETF(米国ETF)も成長投資枠の対象(取扱は証券会社による)
証券会社によっては、米国株・海外ETFも成長投資枠で取引可能です。以下は代表的な例。
※実際に注文できるかは、ご自身の証券会社のNISA対応をご確認ください。
| ティッカー | 名称 | 連動指数/カテゴリ | 備考 |
|---|---|---|---|
| VOO | Vanguard S&P 500 ETF | S&P 500 | 米国大型株の王道。成長投資枠の対象として案内する証券会社あり。 |
| QQQ | Invesco QQQ Trust | NASDAQ-100 | テック寄りの大型グロース。成長投資枠の対象として案内する証券会社あり。 |
| VTI | Vanguard Total Stock Market ETF | 米国株式市場全体 | 米国市場を広く1本で。 |
| VT | Vanguard Total World Stock ETF | 全世界株(含む米国) | 一本で世界分散。人気上位に入ることも。 |
| HDV 等 | iShares Core High Dividend ETF ほか | 米国高配当株 | 配当投資派に。分配金の非課税受取は受取方法の設定が鍵。 |
※ 海外ETFのNISA取扱は各社の約款・取扱商品に従います。銘柄や注文機能(積立可否を含む)は証券会社で差があります。
対象/対象外の条件を「一枚」で把握(2025年時点)
| 区分 | 対象(例) | 対象外(例) | 根拠・補足 |
|---|---|---|---|
| 商品範囲 | 国内株式・ETF・REIT、海外株式・海外ETF(取扱証券に依存) | 監理・整理銘柄 | 成長投資枠は旧一般NISAを継承し幅広い商品に対応。海外株/ETFも対象とする証券会社がある。 |
| 投資信託/ETFの要件 | 信託期間が無期限または20年以上 | 毎月分配型、高レバレッジ等デリバティブを用いた一定の商品 | 新制度で追加された除外条件。レバレッジ型は対象外。 |
| 非課税枠 | 年360万円(つみたて120+成長240) | — | 生涯1,800万円(うち成長1,200万円)。無期限保有。翌年枠の再利用あり。 |
| 配当・分配金 | 株式数比例配分方式で非課税受取 | 銀行受取や証券口座外受取だと課税 | ETFは受取方法の設定が実務上の落とし穴。 |
| 対象一覧の確認 | 投資信託協会/JPXの最新リスト | 非公式/古いまとめのみを鵜呑みにする | 正式リストの更新日を必ず確認(2025年10月時点の更新あり)。 |
証券会社での実務ポイント(つまずきやすい順)
- 口座の対応範囲: 海外ETFをNISAで買えるかは証券会社次第。米国株/海外ETFを成長投資枠で取引できる旨を明示している会社もある。
- 配当受取設定: 「株式数比例配分方式」へ。未設定だと配当に課税がかかり、NISAの旨味が薄れる。
- 積立の可否: 成長投資枠でも積立(定期買付)が可能な会社がある一方、ETFの積立は未対応/限定的な会社も。各社のNISA/米国株ページを確認。:
- 対象リストの最新化: 投資信託協会・JPXのファイルは更新される。年次や月次で改訂が入るため、購入前に最新リストを再チェック。
よくある質問(FAQ)
Q1. レバレッジETF(例:国内レバレッジ/NASDAQ系レバ)を新NISAの成長投資枠で買えますか?
A. いいえ。高レバレッジ等、デリバティブを用いた一定の商品は対象外です。レバナス等も対象外。長期の資産形成を趣旨とした制度設計上、除外されています。
Q2. 海外ETF(VOO/QQQ/VTI等)は新NISAで買えますか?
A. 多くの証券会社で成長投資枠の対象として取引可能です(つみたて投資枠ではなく成長投資枠)。ただし証券会社の取扱可否とNISA口座での米国株取引ルールを必ず確認してください。
Q3. ETFの分配金は自動で非課税になりますか?
A. 受取方法が株式数比例配分方式でないと課税扱いになるため、口座の配当受取設定を確認してください。
Q4. 具体的な対象銘柄はどこで最新を確認できますか?
A. 投資信託協会の「NISA成長投資枠の対象商品」ページ(投信・ETF/REITの届出一覧)と、JPXの「銘柄一覧(ETF)」内の案内から確認できます。更新日も合わせてチェックしましょう。
はじめての方向け:ETF選定の進め方(テンプレ)
- 目的の明確化: 「日本株コア」「米国株コア」「グロース寄せ」「配当重視」「債券でボラ抑制」など、役割を先に決める。
- 候補の抽出: 東証ETF(TOPIX/日経225/S&P500/ナスダック100/米国債 ほか)と、取扱があれば米国ETF(VOO/QQQ/VTI/VT/HDV等)をピックアップ。
- 制度要件チェック: 対象/対象外の条件(毎月分配・レバレッジ除外、20年以上の信託期間 等)に合致するか最終確認。:
- 配当受取設定: 株式数比例配分方式に変更してから購入する。
- 非課税枠の配分設計: つみたて投資枠で投信、成長投資枠でETFという二刀流で、年360万円/生涯1,800万円の枠を計画的に活用。
まとめ:2025年の新NISA×ETFは「対象の広さ」と「実務の落とし穴」を攻略する
- 国内上場ETFはもちろん、海外ETF(米国ETF)も成長投資枠で取引可能な証券会社が増え、選択肢は広い。
- ただし、毎月分配や高レバレッジ等は対象外。配当受取設定も忘れずに。
- 枠は年360万円・生涯1,800万円(成長1,200万円)。非課税の恩恵を最大化する配分設計が鍵。
- 購入前に投資信託協会/JPXの最新リストを必ず再確認。2025年も更新が続いている。
本記事は制度の「最新の公開情報」に基づいていますが、最終的な取扱は証券会社や最新の届出状況に依存します。実行前に各社サイトと公式リストをご確認ください。


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