【2025版】イーライリリー(LLY)徹底分析|GLP-1と成長性

金融

製薬会社イーライリリー(LLY)は、肥満(Zepbound)と糖尿病(Mounjaro)で“世界最大級の成長ストーリー”を走っています。

2025年8月7日の決算では売上+38%の155.6億ドル通期売上ガイダンスを600〜620億ドルへ上方修正。粗利率は**84.3%**まで上昇し、利益体質の強さも再確認されました。初心者がまず押さえるべき指標は「売上成長率」「粗利率」「PER(株価収益率)」「配当利回り」です。これらだけで“いまの強さ”と“割高/割安感”の輪郭が見えます。

  • 売上成長率:前年比+38%(Q2)

  • 粗利率:84.3%(Q2)

  • EPSガイダンス(非GAAP):21.75–23.00ドル

  • 「何が伸ばしたか」:Zepbound&Mounjaroの数量増が主因(値下げ影響を吸収)


結論:“数量×高粗利”の組合せが、LLYの強さの源泉となっています。

スポンサーリンク

なぜこのタイミングで分析を行う意味があるのか

今期は需給と制度が一斉に大きく動いた年です。FDAがセマグルチド(Wegovy等)の供給不足解消を正式決定し、模倣調剤(コンパウンド)猶予も終了

結果、安価な“コピー”から正規ブランド薬への回帰が加速しています。同時に、最大のライバルNovo Nordisk(NVO)は通期見通しを引き下げ、“勝者・敗者”のコントラストが鮮明になりました。

  • 投資的意味:「構造変化の節目」=ファンダメンタルズの差が株価に効きやすい局面

  • ブログ的意味:初心者でも“なぜ伸びるか”を基本指標で説明しやすい
    要は今は“数字で語れるタイミング”。だからLLYを取り上げる価値があります。

分析対象の概要(会社と最新トピック)

  • 会社:Eli Lilly and Company(NYSE: LLY)

  • 主要薬:Zepbound(肥満)、Mounjaro(2型糖尿病)

  • 直近Q2:売上155.6億ドル(+38%)、粗利率84.3%、非GAAP EPS 6.31ドル/ガイダンス上方修正。主役はZepbound・Mounjaroの数量増

  • 配当:年6.00ドル(四半期1.50ドル)を継続中(利回りは株価次第で概ね0.8〜0.9%)。


「伸びる売上×分厚い粗利×少額だが安定配当」という性格です。

事業内容と業界動向(初心者向けの見方)

肥満・糖尿病の主力薬は「GLP-1/GIP」と呼ばれるホルモン経路を利用します。食欲を抑え、体重や血糖を下げるため、患者数ベースの潜在市場が非常に大きいのが特徴。

  • 供給:LLYは製造能力の上積みを継続(北米の新拠点や注射製剤の投資拡大)。出荷能力強化を打ち出しており、数量成長の見通しが立ちます。

  • 制度:不足解消→コンパウンド収束正規薬シェア回帰の追い風。

  • 競合:NVOはH1売上+18%ながら、ガイダンス下方修正で成長鈍化が話題に。米外展開や価格での攻防が続きます。


ポイントとしては以下の2点といえるでしょう

  • 数量(患者数)>価格で伸びると“長く続く成長”になりやすい

  • 供給増と制度追い風は売上成長率の先行指標になる

SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)

SWOT分析は以下の通りです。

LLYは“量を作れる強さ+次の柱づくり”を同時並行で進める体制となっています。

強み

  • Zepbound/Mounjaroの高成長×高粗利(Q2粗利率84.3%)

  • ガイダンス上方修正=経営の自信と需給の見通し

  • 研究開発投資の厚み(R&D比率21.4%)で次の柱を狙う

弱み

  • 薬価・政治リスクへの感応度(高収益ゆえに標的になりやすい)

  • 経口候補(orforglipron等)は試験結果次第で期待がブレる

機会

  • コンパウンド収束→正規薬回帰の取り込み

  • 肥満から心・肝・腎など合併症領域への適応拡大

  • 放射性リガンド(POINT買収)、AI創薬(Superluminal提携)で新モダリティ獲得

脅威

  • **競合(NVO)**の国際展開や値引き戦略

  • 需給ひっ迫の再燃やサプライチェーンの揺らぎ

競合他社との主要な“初心者向け”指標比較(LLY vs NVO)

次の4つで十分“手触り”がつかめます。

  • 売上成長率:LLY Q2 +38%(Zepbound/Mounjaro)。NVO H1 +18%。

  • 粗利率:LLY 84.3%(Q2非GAAPベースの開示)。NVOもGLP-1中心で高粗利だが、市況は価格低下圧力を受けやすい。

  • PER:LLY フォワード約30–31倍(Yahoo Finance等)。NVO トレーリング約13倍(デンマーク上場ベース)。(算出基準が異なるので“傾向比較”として活用)

  • 配当利回り:LLY 約0.8–0.9%(年6.00ドル)。“成長投資優先”の配当政策。

ここから言えること:LLY=高成長プレミアム、NVO=足元成長鈍化の巻き返し待ち。割高に見えても“高成長×高粗利”が維持できるなら、PERは許容されやすい構図です。

セクター比較(相場の中でLLYは高い?安い?)

  • S&P500全体のフォワードPER:22.1倍

  • S&P500ヘルスケアのフォワードPER:およそ16.5〜16.7倍
    → LLYの“約30倍前後”は「セクター平均より明確に高い=“成長の前倒し評価”」です。

  • 2025年はヘルスケア全体が軟調で選別色が強まる展開。「勝者の数字」がある銘柄へ資金が集まりやすい局面です。

今後の戦略と展望の分析(数字で追える“勝ち筋”)

  1. 供給の積み増し:北米拠点などで注射製剤の生産拡張数量拡大=売上成長率の継続性に直結。

  2. 制度の追い風を取り切る不足解消・コンパウンド猶予終了正規品回帰を確実に刈り取る。流通・在庫の最適化が肝。

  3. “次の柱”の育成:放射性リガンド(POINT)で腫瘍学を拡張、AI創薬(Superluminal)で探索速度と命中率を高める。

  4. パイプラインの質:経口GLP-1(orforglipron等)の有効性・忍容性の底上げが評価のカギ。イベントは株価ボラの源泉

投資家にとってのメリットとリスク(指標で整理)

メリット

  • 売上成長率:Q2 +38%で“数量ドリブン”。需要が見えやすい。

  • 粗利率:84.3%と“価格競争に耐える”体質。投下資本の回収も早い。

  • 配当の安定感:利回りは低いが連続増配基調×四半期1.50ドルで予見性が高い。

リスク

  • 薬価・政治リスク:価格引下げ圧力のニュースでPER圧縮が起き得る

  • 試験イベント:経口候補などで期待未達→短期急落の可能性

  • 競合の巻き返し:NVOが価格/国際展開で攻勢なら成長率格差が縮小する恐れ(同社は見通し下方も、巻き返し余地は残る)

実務的ポイント:「売上成長率」「粗利率」「PER」「配当利回り」の4点セットを毎決算で更新し、グラフ化すると判断がブレにくくなります(高成長が続く限り、PERが高めでも許容されやすい)。

まとめ(私の立場)

中長期は強気、短期はイベント分散と私は考えます。理由はシンプルで、以下の3点です。

数量成長が視認性高い(供給×制度追い風)

粗利率が高く利益が積み上がる

次の柱づくりへの投資が着実

数字で見てもLLYのフォワードPERはセクター平均の約2倍弱ですが、Q2の+38%成長と84.3%粗利が「プレミアムの根拠」とみています。

ポジションは分割で積む/イベント前後はサイズ調整、これが初心者にも実践しやすい現実解だと考えます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました