【2025版:米国株分析】NVIDIA×Intel:最新AI銘柄について分析してみた

金融

NVIDIA(NVDA)は“GPUの会社”に留まらず、AI工場(AI Factory)を丸ごと売るビジネスへ進化しました。直近四半期(FY26 Q1:2025/4/27期)は売上441億ドル、データセンター391億ドルと、収益の約9割がAI向け。数字そのものより重要なのは「なぜ稼げる構造なのか」です。


一方、Intel(INTC)はIDM(自社製造)+ファウンドリーへ賭け、AIアクセラレータ「Gaudi 3」の拡販と18Aプロセス量産で反転を狙う局面。足元の業績・ガイダンスはなお慎重で、2025年通年の設備投資(CAPEX)は180億ドルを計画するなど、回復への投資が続きます。

  • 立場:長期はNVIDIA強気(推論の大量実装で裾野が拡大)。Intelは“再建×オプション価値”(製造とGaudiが形になれば”跳ねる”余地)。


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なぜこのタイミングで分析を行う意味があるのか

NVIDIA=需要主導・配備拡大Intel=供給主導・製造の成否。同じ「AI」でも勝ち筋の作り方が違うのが今です。

  • イベント接近:NVIDIAの次の決算は8月27日(米PT)。推論(インファレンス)やBlackwellの供給コメントが“物差し”を更新します。

  • NVIDIAの配備フェーズ:ラック丸ごとのGB200 NVL72HPEで出荷開始、各社クラウドでも一般提供が立ち上がり。学習一辺倒から推論の常時稼働へ重心が移る転換点。

  • Intelの分岐点18Aの歩留まり課題が報じられ、量産の確度・タイミングが注目(=利益率の行方)。ここが解消すれば再評価余地、長引けば重荷。

  • 部材(HBM)とネットワークの主戦場化:HBM4の試作~量産は2026年本格が見込まれ、HBM3Eのタイトさは続く見立て。EthernetベースのSpectrum-Xや各社のAIネットワーク競争も激化。


分析対象の概要

NVIDIA=設計+ソフト重視の“ファブレス”。

Intel=製造を握る“IDM+ファウンドリー”

作る強みで戦うIntel、使わせる強みで稼ぐNVIDIA、という対比構造と簡単に考えることができます。

NVIDIAはGPU(Hopper→Blackwell)+NVLink/NVSwitch+Grace CPU+DPU+Ethernet(Spectrum-X)をCUDA/NIMなどのソフトで束ねる“フルスタック”。「速い部品」ではなく「速く動かす仕組み一式」で差別化します。H100/H200はTSMC 4N、BlackwellはTSMC 4NPのカスタムノードを採用し、先端パッケージ(CoWoS等)と組み合わせてスケールさせるのが肝になっています。

対するIntelは、IDM + ファウンドリー戦略:自社製造の復権と外部顧客の受託拡大を狙い、High-NA EUVなど先端装置で優位を築こうとしています。Gaudi 3はオープン志向とTCO訴求で、Dell AI Factory等を通じた提供範囲を拡大させています。


事業内容と業界動向

  • Blackwell/GB200 NVL72(NVDA):学習/推論のTCOを下げ、“ラック単位でAI”を売る。HPEが初出荷を発表。

  • Spectrum-X(NVDA):企業DC向けEthernetのAI最適化。Ciscoと連携し“導入しやすさ”を押し出し。

  • HBMの逼迫(業界)HBM4は2026量産域の見通し。25年はHBM3Eのタイト感が続き、上流が“実質のボトルネック”。

  • Gaudi 3(INTC)提供の裾野拡大で勝負中。量・エコシステムの厚みでNVIDIAに後れも、価格やオープン性で差別化の余地。

  • 18A量産(INTC)歩留まり課題が報じられ、収益寄与の立ち上がりが焦点。成功すれば“作れる強み”が再評価へ。


SWOT分析(NVIDIA中心、Intelとの差分つき)

強み(NVIDIA)

  • フルスタック統合+CUDA/NIM乗り換えコストが高い

  • データセンター比率が高く超高収益(FY26 Q1:売上441億ドル/うちDC391億ドル)。

  • Blackwellの配備が推論の裾野を広げる起爆剤。
    (Intelなら) 製造の内製化で供給主導のコントロールが狙える一方、ソフト生態系の厚みはNVIDIAが先行。

弱み(NVIDIA)

  • HBM/先端パッケージの外部依存。供給逼迫時はマージンが揺れやすい。

  • バリュエーション高水準で期待外れに弱い。
    (Intelなら) 現状業績とマージンが脆弱。製造立ち上げが遅れると評価リスク。

機会(NVIDIA)

  • 推論の大量実装(NVL72等)で常時稼働の売上が拡大。

  • 企業DCのAI対応(Spectrum-X)で新規領域。
    (Intelなら) 18A成功+外部顧客獲得ファウンドリー上振れの余地。

脅威(NVIDIA)

  • **競合加速器(AMD/TPU/Trainium/Gaudi)**と価格・供給競争。

  • 輸出規制・地政学・HBM不足
    (Intelなら) 歩留まりと損益分岐の壁。解消が遅いと資本効率の悪化へ。


競合他社との主要な財務指標比較(2025/8上旬時点)

  • NVIDIA:時価総額約4.46兆ドルTTM P/E ~58.9Fwd P/E ~41P/S ~30.4

  • Intel:時価総額約873億ドルFwd P/E ~182P/S ~1.6(TTM赤字でP/E算出不可)。

以下のようにとらえることができます。

  • NVDA=高成長が織り込まれた“プレミアム価格”つき

  • INTC=“再建ディスカウント”+“反転オプション”つき


セクター比較(半導体の中での位置づけ)

  • NVIDIAAIサイクルの勝者としてセクターのけん引役。ネットワーク・電力・冷却・HBMなど周辺サプライチェーンも連動しやすい。

  • IntelIDM×ファウンドリーでセクター内の“供給能力”を担う可能性があり、米国内製造や先端露光といった政策テーマとも親和性が高い。

  • 投資家は、AI需要(NVIDIA軸)と供給/製造(Intel軸)という二つの物差しでセクター全体を読むのがコツ。


今後の戦略と展望の分析(NVDAとINTCの“勝ち筋”の違い)

NVIDIA(私見:長期強気)

  • 製品GB200 NVL72ラック級の最適化を売り、推論の常時稼働で収益の季節性を薄める。

  • ネットワークSpectrum-Xで企業導入の摩擦を低減、InfiniBand/ETHの両輪で守備範囲を拡張。

  • ソフトCUDA/NIMで“使い始め”を速くしスイッチングコストを高める。

  • 供給:TSMC軸の先端ノード+先端パッケージを確保(BlackwellはTSMC 4NP)。

Intel(私見:反転オプション)

  • 製造18Aの歩留まり改善と量産の確度が最大カタリスト。成功すれば粗利/コストが改善し、外部顧客獲得でストーリーが加速。

  • プロダクトGaudi 3TCO/オープン性でNVIDIA一強マーケットに“第2の選択肢”を提示。調達性・価格感応度の高い領域で浸透を狙う。

  • 財務:2025年CAPEX 180億ドル費用圧縮で体質改善中。ガイダンスは慎重で、実行確認が株価の分水嶺


投資家にとってのメリットとリスク

NVIDIAのメリット

  • 超高収益×フルスタック成長の持続性が高い(FY26 Q1でDC391億ドル)。

  • 推論配備の本格化で“常時稼働の売上”が増える可能性。

NVIDIAのリスク

  • HBM/先端パッケージ依存高バリュエーション。供給ショックや期待未達に弱い。

 

Intelのメリット

  • 製造の再建が成功すれば構造的な利益改善ファウンドリー収益で再評価余地。

  • Gaudi 3の拡販で“価格×オープン”の選択肢を提供。

Intelのリスク

  • 18Aの歩留まり/損益分岐の壁。長期化で資本効率が悪化。ガイダンスも慎重。

運用ポイント

  • NVIDIA:長期は積立+押し目、短期は決算/供給ニュースでボラ前提。

  • Intel:**“実行待ちのバリュー株”**として少額から段階的に。18A/受注/ガイダンスの三点チェックが軸。


まとめ

ざっくり言うと――
NVIDIAは「今すぐAIを回したい人の本命」Intelは「作る力で巻き返しを狙う挑戦者」
前者は“AI工場を丸ごと売る”強みで配備が進むほど売上が積み上がり、後者は18A量産×Gaudiの案件化がハマれば評価が一段上がる、そんな構図です。

私のスタンスはシンプル。コアはNVIDIA、オプションでIntel
短期はニュースでよく揺れるので、決算(ガイダンス)やHBM・規制のヘッドラインを前提に機動的に。長期は推論の普及が効いてくる限り、NVDAを軸に据えやすいと見ています。

  • NVIDIAを見るポイント:Blackwell(GB200/NVL72)の供給軌道、推論案件の増え方、主要顧客のCAPEX。

  • Intelを見るポイント:18Aの歩留まり・量産の確度、Gaudi 3の採用事例、ファウンドリー受注。

  • 共通リスク:HBMの供給とコスト、輸出規制・地政学、そして“期待値の剥落”。

要は、「需要のNVIDIA × 供給のIntel」という二輪駆動。
この二つのメーターを並べて見るだけで、AI相場の“今どこ?”がグッと掴みやすくなります。

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