【2025最新版】Walmart(WMT)徹底分析|広告×会員×AIで再加速

金融

Walmartは、2025年8月21日発表のFY26第2四半期で売上高$1,774億(前年比+4.8%)、
eコマース+25%広告+46%と高い伸びを示し、通期見通しを売上+3.75〜4.75%、調整EPS$2.52〜$2.62へ引き上げました。
「低粗利の箱売り」から、会員(Walmart+)×広告(Walmart Connect)×AI/データへと
収益の質を高める転換が現実のものになりつつあります。一方で、関税再燃
自家保険コストの上振れなど、短期的な利益変動要因も無視できません。

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分析対象の概要

Walmartは世界19か国で1万0,750超の店舗・クラブとECプラットフォームを運営し、
週あたり約2.7億人が利用する最大手の総合小売です。
ビジネスはWalmart U.S./Walmart International/Sam’s Clubの3本柱。
FY2025の売上高は$6,810億。2024年12月に完了したVIZIO買収でCTV(ネット接続テレビ)OSを取り込み、広告とコマースの連動を強化しています。

  • ビジネスモデル:EDLP(毎日低価格)×オムニチャネル(店舗受取・即配)×マーケットプレイス
  • 新収益:Walmart+(会員)、Walmart Connect(広告)、リビングルーム接点(VIZIO OS)
  • 人員規模:全世界で約210万人(米国約160万人)

Q2 FY26 ハイライト(前年比)

指標 数値
売上高 $177.4B(+4.8% / 為替中立+5.6%)
グローバルEC +25%
広告事業 +46%(米Walmart Connect +31%)
会員収入 世界で+15.3%(「会員&その他」全体+5.4%)
粗利率 +4bps(Walmart U.S.主導)
通期ガイダンス 売上+3.75〜4.75%、調整EPS $2.52〜$2.62

※単位B=10億ドル、bps=ベーシスポイント

3C+リスク分析

Company(自社)

Walmart U.S.は既存店+4.6%、EC+26%と堅調です。
Internationalは為替中立で+10%超と伸び、Sam’s Clubも会員収入が+7.6%
決算構造では、広告・会員の高粗利が利益の質を押し上げる一方、自家保険(一般賠償)費用や一部の法務・再編費用がEPSを圧迫しました。

  • 食品・ヘルス比率の高さが景気耐性を担保
  • VIZIO/CTVで家のスクリーン→購買までの導線を獲得
  • マーケットプレイス拡大で在庫を持たずに品揃え増、手数料収益を上積み

Competitor(競合)

  • Amazon:広告が高成長、物流最適化で小売の粗利改善。クラウドと二枚看板
  • Costco:年会費モデルの強力なキャッシュ創出。限定SKUとプライベートブランドで高効率
  • Target:在庫・縮小(盗難)対応に苦戦、トラフィック回復に時間

Customer/Market(市場)

高金利・粘着的インフレ下で消費者は「価格×利便」を重視。店舗受取・即配の利便性は定着し、
CTV×小売データのリテールメディアがブランドの重要な出稿先に。Walmartは実購買データの解像度で優位を持ち、広告在庫の価値向上が続きます。

主なリスク

  • 関税・地政学:補充在庫の関税コストが下期に重荷となる示唆
  • 自家保険/労務費:労働市場の強さと訴訟動向で費用が変動
  • 為替:Internationalの利益換算に影響
  • 盗難(Shrink):一部地域で依然課題

SWOT分析

S|強み

  • 2.7億来店の巨大トラフィック×全国物流のコスト優位
  • 食品・ヘルスの厚みでディフェンシブ
  • 広告/会員/マーケットプレイスの高粗利エンジンが二桁成長

W|弱み

  • 食品ミックス由来の営業利益率の薄さ
  • 自家保険・店舗運営費の上振れでEPSがブレやすい

O|機会

  • VIZIO×Walmart ConnectでCTVから購買までの統合
  • Flipkart等、海外デジタルの伸長
  • AIによる需要予測・在庫/補充・価格最適化の高度化

T|脅威

  • 関税・規制・人件費の構造的上押し
  • Amazon(広告/物流)・Costco(会員)の構造競争

財務分析(PL/BS/CF/株主還元:競合比較の視点)

Q2 FY26のPLは、売上+4.8%、粗利率+4bps。高粗利の広告・会員が牽引する一方、法務・再編と自家保険がEPSを抑制しています。
通期ガイダンスは売上・EPSともに上方修正されました。BS・CF面では在庫は健全域、オムニ運営と自動化投資へ資本配分を継続。株主還元は52年連続増配で2025年は年$0.94に13%増配。四半期配当は直近$0.235の支払い履歴です。

競合と比較した論点(定性+一部定量)
項目 Walmart Amazon Costco
収益ドライバー 食品×会員×広告、EC即配・店舗受取 広告×物流最適化+AWS 年会費×限定SKU×PB
成長の質 高粗利(広告/会員)が二桁成長 広告高成長、クラウド投資期 会員更新率の高さで超安定CF
リスク 関税・自家保険・人件費 投資負担/規制 仕入コスト・会員値上げ後の反応

※配当は会社発表ベース。各社の詳細はIR開示・決算資料をご参照ください。

セクター比較(米ディスカウント/クラブ/汎用小売)

  • 景気耐性:食品・ヘルス比率の高いWalmart/Costcoが相対的に強い
  • 成長余地:Walmartのリテールメディア×会員はまだ伸び代あり
  • 評価論点:薄利大規模モデルの限界に、高粗利の新収益を重ねて利益体質を改善

投資家にとってのメリットとリスク

メリット

  • 食品中心の安定トラフィックと価格訴求で不況耐性
  • 広告/会員/MPの高粗利成長がEPSの下支え
  • VIZIO×Walmart ConnectでCTV→購買の接点を強化
  • 連続増配と自社株買いの総還元力

リスク

  • 関税・規制の不確実性(下期コスト上振れ示唆)
  • 自家保険/労務費の変動性
  • Amazon/Costcoとの構造的競争圧力

中長期は「強気寄りの中立」。食品のディフェンスに、高粗利の広告/会員が積み上がる構図は明確。短期は関税・保険・人件費でEPSが振れやすいため、決算後の押し目広告/会員のYoY二桁維持を確認しつつの段階的エントリーが合理的といえます。

まとめ

Walmartは「最大手×薄利大規模」の常識を塗り替え、リテールメディア×会員×AIで粗利の質を作り直しています。Q2 FY26ではEC+25%、広告+46%、会員収入+15.3%、通期ガイダンスも上方修正
VIZIO買収によりCTVから店舗・アプリまでの購買導線を統合し、「価格だけでない体験価値」で
シェアを獲りに行く戦略が定着しました。
外生ショックに揺れつつも、“守りの小売”に“攻めの新収益”を重ねる現在の戦略が続く限り、EPSの逓増余地は十分と見ます。

参考リンク(一次情報)

※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘ではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。

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