【2025最新版】米国株連続増配年数ランキング30選【配当王・配当貴族】

金融

本ランキングは、各社の公表資料・指数提供会社・配当データベース等をもとに、「連続して前年より配当を引き上げた年数」で集計しています(=配当王含む)。同率は企業名のアルファベット順に並べています。

インカム投資の王道テーマが「連続増配」です。景気循環・金利・規制の波を受けても、配当を毎年増やし続ける企業は、収益構造・事業ポートフォリオ・資本配分のいずれもが強靭。配当は経営から投資家への最も「嘘のつけない」シグナルであり、長期の増配履歴は経営の規律とキャッシュ創出力の積み上げの証拠です。
スポンサーリンク

ランキング:米国株・連続増配年数(最長→短)

2025年は、物価の粘着性・関税不確実性・景気減速懸念の中で、増配ペースの鈍化が話題となっています。他方で配当王の多くは、むしろ着実に増配を継続。短期の金利低下観測が強まれば、長期の増配履歴を持つディフェンシブ銘柄は再評価が進みやすいフェーズです。

最新データで「今どの銘柄が最も長く増配を続けているか」を一望できるように整理しました。

※年数は2025年8月24日判明ベース。タイはアルファベット順。SectorはGICS準拠の大分類。

順位 企業名 ティッカー セクター 連続増配年数 補足(直近増配など)
1 American States Water AWR Utilities 71年 2025年7月の増配で更新
2 Dover DOV Industrials 70年 2025年8月増配で70年到達
3 Procter & Gamble PG Consumer Staples 69年 2025年4月に増配
4 Parker-Hannifin PH Industrials 69年 2025年8月に2桁増配
5 Emerson Electric EMR Industrials 69年 配当王の老舗
6 Genuine Parts GPC Consumer Discretionary 69年 2025年2月増配
7 Northwest Natural NWN Utilities 69年 公益の典型的な配当王
8 Cincinnati Financial CINF Financials 65年 2025年2月増配
9 Johnson & Johnson JNJ Health Care 63年 2025年4月増配
10 Coca-Cola KO Consumer Staples 63年 2025年2月増配
11 Lancaster Colony LANC Consumer Staples 62年 食品の隠れた配当王
12 Nordson NDSN Industrials 61年 24年も二桁増配
13 Farmers & Merchants Bancorp FMCB Financials 60年 地方銀行の雄
14 Hormel Foods HRL Consumer Staples 59年 食品ブランド群の底力
15 Tootsie Roll Industries TR Consumer Staples 59年 現金+株式配当の伝統
16 California Water Service CWT Utilities 58年 2025年1月に増配
17 Federal Realty Investment Trust FRT Real Estate 58年 REIT随一の記録
18 Stanley Black & Decker SWK Industrials 58年 2025年7月に増配
19 Commerce Bancshares CBSH Financials 57年 2025年も連続更新
20 Stepan Company SCL Materials 57年 化学の堅実王者
21 H.B. Fuller FUL Materials 56年 接着剤グローバル
22 ABM Industries ABM Industrials 56年 BtoBサービスで積み上げ
23 Black Hills BKH Utilities 55年 公益で業界最長級
24 MSA Safety MSA Industrials 55年 2025年5月に増配
25 PPG Industries PPG Materials 55年 塗料大手、25年7月増配
26 Target TGT Consumer Staples 54年 2025年6月に増配
27 Becton, Dickinson BDX Health Care 53年 医療消耗材の王道
28 Kimberly-Clark KMB Consumer Staples 53年 紙製品で安定増配
29 Lowe’s LOW Consumer Discretionary 53年 ホームセンター配当王
30 PepsiCo PEP Consumer Staples 53年 2025年も年次増配

(注)本表は米国企業を対象。ADRや海外本社・複雑なスピンオフの継承年数は、各社の公式開示に従い、一般的な「配当王」コンセンサスに整合する形で記載しています。

概要

ランキングの大半は、生活必需品・資本財・公益に集中します。

これらのセクターは、①需要の景気感応度が低い、②規模とブランドが価格決定力をもたらす、③規制・設備投資サイクルの読みやすさからキャッシュの可視性が高い、といった構造的理由により、「無理のない増配」を長期にわたって継続しやすい特徴があります。

事業内容と業界動向

生活必需品(Consumer Staples)

PG/KO/KMB/PEP/HRL/TR/LANCなどは、ブランド力とグローバル価格改定の組み合わせで原材料高や為替を吸収。インフレ期はむしろ価格転嫁で増益余地が広がる局面も多く、配当と自社株買いを同時に回せるキャッシュ創出力が強みです。

資本財・素材(Industrials/Materials)

DOV/PH/EMR/NDSN/PPG/SCL/FUL/SWKらは、景気循環でボラティリティはあるものの、事業ポートフォリオの分散と高い後工程サービス収益で下押しを緩和。オペレーティングレバレッジの管理とM&A後の統合力が増配継続のカギです。

公益(Utilities)

AWR/NWN/CWT/BKH は規制下でのレートベース拡大が原資。脱炭素・耐災投資の資本支出計画は長期にわたり可視化され、金利動向の影響はあるものの、設備投資→料金認可→キャッシュ回収のサイクルで安定的な配当成長が可能です。

金融・ヘルスケア・不動産

金融(CINF/FMCB/CBSH)は引当と金利環境の舵取りが鍵。ヘルスケア(JNJ/BDX)は需要安定と高い参入障壁、不動産(FRT)はテナント健全性とバランスシート運営が増配継続の条件です。

SWOT分析(配当王ユニバースの共通点)

強み(S)

  • ブランド力・規模の経済・規制資産など、価格決定力と需要の安定
  • 連続増配という経営規律の可視化(資本配分の一貫性)。
  • 多角化・グローバル展開によるキャッシュフローの分散。

弱み(W)

  • 成熟事業ゆえの高い配当性向(再投資余地が限られる局面)。
  • 金利上昇局面でのバリュエーション圧力(ディフェンシブ株の逆風)。

機会(O)

  • 構造的インフレ環境での価格改定耐性と名目成長の追い風。
  • サプライチェーン再編・エネルギー転換関連の設備投資需要。

脅威(T)

  • 規制変更/関税・地政学によるコスト増と需要シフト。
  • 消費者動向の変化(健康志向・プライベートブランド台頭など)。

セクター比較:配当王はどこに多いか

配当王は、Consumer Staples/Industrials/Utilitiesの三領域で全体の過半を占めます。ディフェンシブ性と長期資本回収モデルの強さが、複利的な増配履歴に直結していることが見て取れます。

今後の戦略と展望

  • 金利低下局面入りなら、安全資産の再評価→配当ディフェンシブの相対優位が戻る可能性。
  • 一方で関税・コモディティ価格の振れは、短期的なマージン圧迫リスク。価格決定力があるブランド企業規制資産の公益に相対的に分がある構図は不変。
  • 増配継続基調は維持見通しだが、増配は企業ごとのマクロ感応度で二極化へ。

投資家にとってのメリットとリスク

メリット

  • 長期の配当成長によるインフレ耐性と、配当再投資の複利効果。
  • 減配耐性の高さ(実績的に景気後退期も維持)。

リスク

  • 高バリュエーション時に購入すると、金利上昇や短期の成長減速で逆風。
  • 規制・訴訟・ESG対応コストなどの突発要因。

まとめ

増配の「年数」はゴールではなく、企業文化・事業構造・資本配分の結果です。上位陣はいずれも、景気循環を超えるキャッシュ創出力と、株主還元の規律を備えています。あなたのポートフォリオでも、景気敏感株や高成長株と並べて、複利で効く「配当のカタチ」を設計する——そのための土台として、本ランキングを活用していただければ幸いです。

※本記事は情報提供のみを目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました