ETFで何を買うべきが迷った際、ETF1本で完結させる/2本で分散/目的別に足すの3ステップで、VTI・VOO/IVV・VT・QQQM・SCHD・VYMなど“代表ETF”だけでポートフォリオを完成させます。費用(経費率)・税制(NISA/米国10%源泉)・実務(発注/配当受取)までまとめて解決できるよう整理しました。
1. 最初の結論(クイック最適解)
最小手間
世界株を1本で:VT
- 米国+先進国+新興国まで一括分散。迷ったらコレ。
- 経費率も低水準(0.06%)。
王道
米国株の王道:VTI or VOO/IVV
- VTI=米国ほぼ全市場。VOO/IVV=S&P500。(米国以外を無視)
- どれも超低コスト(0.03%)、流動性抜群。
成長を上乗せ
グロース寄せ:QQQM(=NASDAQ-100)
- QQQの低コスト版(0.15%)。長期積立の“味付け”に。
- 比率は全体の~10–30%目安。
配当重視
高配当の軸:SCHD or VYM
- 安定配当と分散を両立。NISAでも米国10%源泉は残る点に注意。
- 成長枠+配当枠の二刀流に相性◎。
2. 選び方チェック観点(7基準)
- 投資対象の広さ:米国全体(VTI)/S&P500(VOO, IVV, SPY)/世界(VT)。
- コスト(経費率):0.03%クラスが“優等生”。長期では差が効く。
- 分散と偏り:QQQMはハイテク比率が上がる。配当系はセクター偏重も。
- 流動性・スプレッド:VOO/IVV/SPYやVTIは出来高・板が厚く執行が安定。
- 税制適合性:NISAでも米国配当は10%源泉。高配当重視はここを理解して比率調整。
- 重複リスク:VOOとVTIの二重保有は重複が大きい(基本はどちらか一方)。
- 運用のしやすさ:1本完結か、2本で役割分担か。再現性の高い仕組みに。
3. 代表ETF 一覧・比較表(2025年版)
数値は各運用会社の最新公表(2025年中)に基づく概算。詳細は各社サイトで必ず確認してください。
(A)コア指数系
ティッカー | カテゴリ | ざっくり中身 | 経費率 | ひとこと |
---|---|---|---|---|
VTI | 米国・全市場 | 米国の大型〜小型まで幅広く | 0.03% | 米国一本化なら最有力 |
VOO / IVV / SPY | 米国・S&P500 | 米国大型株500社 | VOO=0.03% / IVV=0.03% / SPY=0.0945% | 伝統の王道。コストはVOO/IVVが優位 |
VT | 世界株 | 米国+先進国+新興国 | 0.06% | 1本で完結したいなら |
VXUS | 米国外 | 米国を除く全世界株 | 0.05% | VTIと組んで“世界”化 |
VEA / VWO | 先進国/新興国 | 米国外の内訳を分けて保有 | VEA=0.03% / VWO=0.07% | 細かく配分したい人向け |
(B)味付け・目的特化
ティッカー | 性格 | ざっくり中身 | 経費率 | 使いどころ |
---|---|---|---|---|
QQQM(QQQ) | 成長寄せ | NASDAQ-100(非金融の大型中心) | QQQM=0.15%(QQQ=0.20%) | VTI/VOOに10–30%上乗せ |
SCHD | 高配当×クオリティ | 10年以上の配当実績+財務健全性を重視 | 0.06% | 配当軸の“主力”候補 |
VYM | 高配当(広く分散) | 配当利回りの高い米国株(構成広め) | 0.06% | 高配当を広く取りたい |
HDV | 高配当(厳選系) | 財務健全性をスクリーニング | 0.08% | 高配当を“絞って”取りたい |
※分配頻度は原則「四半期」。QQQMとQQQは同じ指数を追跡し、QQQMは低コスト設計(ただしオプションや超短期の板厚はQQQ優位)。SPYは歴史と流動性に強みがありつつ、純コストではVOO/IVVが有利。
4. 目的別ポートフォリオ例(再現性重視)
シンプル重視
- VT 100% … 世界株を1本で。最小手間・迷いゼロ
王道の二刀流
- VTI 70% + VXUS 30% … 米国+米国外の“二本柱”。世界時価総額に近い配分。
- VOO 80% + VEA/VWO 20% … S&P500中心+米国外を軽めに。
味付けでメリハリ
- VTI 70% + QQQM 30% … 成長寄せ(値動きは荒め)。
- VTI 70% + SCHD 30% … 配当寄せ(NISAでも米国10%源泉)。
リバランスの型
- 頻度は年1回 or 乖離5%超のどちらか。シンプルに徹する。
- 入金時リバランス(不足側へ足す)で売却回数を減らす。
5. 日本居住者の実務(NISA/税/手数料)
新NISAの基本(2024〜)
- 制度は恒久化・非課税保有限度の拡大・期間無期限に。
- 成長投資枠で米国ETFも購入可能(取扱は証券会社による)。
米国配当の10%源泉は残る(重要)
- NISA口座でも、米国配当には日米租税条約に基づく10%が米国で源泉徴収。
- NISAの国内非課税と引き換えに、外国税額控除は不可(10%は戻らない)。
- 配当の受取方法は「株式数比例配分方式」を選ぶのが定番。
※米国源泉を30%→10%にするため、W-8BENの提出が前提(証券会社経由が一般的)。
その他の落とし穴・Tips
- 為替コスト(ドル転手数料/スプレッド)を把握。積立なら為替タイミングを固定。
- VOOとVTIの二重保有は基本非推奨(重複大)。持つなら役割で差別化。
- 配当重視はNISA下でも10%源泉を踏まえ、成長×配当の配分を設計。
6. FAQ(よくある論点の最短回答)
Q. VOO・IVV・SPYはどれが良い?
いずれもS&P500連動で中身はほぼ同じ。コストはVOO/IVV(0.03%)が最安級、SPYは歴史と流動性で優位だが費用が高め(約0.0945%)。長期積立ならVOO/IVVが定石、短期執行重視や先物/オプション連携ならSPYも選択肢。
Q. QQQよりQQQMが推される理由は?
同じNASDAQ-100に連動。QQQMは総経費が低い(0.15%)ため、長期の“味付け”に向く。デイトレ/オプション等の流動性を最重視するならQQQ。
Q. VT 1本と、VTI+VXUSの2本はどちらが良い?
手間を減らすならVT 1本。微調整(米国比率や新興国比率)をしたい人は2本で。「続けやすさ」を優先。
Q. 高配当ETFはNISAで有利?
国内税は非課税だが、米国源泉10%は残る。配当=キャッシュフロー重視なら有効だが、トータルリターンで見ると成長株の売却取り崩しと比較して優劣はケースバイケース。
最終更新:2025-09-02(JST)/本記事は一般的情報であり、特定銘柄の売買推奨ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
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