公開日:2025年9月7日|最終更新:
VYMは低コスト×広域分散の王道高配当ETF。配当・構成・競合比較まで、最新情報を一記事で網羅し、長期投資の判断軸を提示します。
なぜこのタイミングで分析するのか
- 2025年は金利の転換線上。配当の質と持続性に注目が集まりやすい。
- 四半期配当(例年3・6・9・12月)で、配当取り・再投資の設計を見直す好機。
- 高配当ETF間で戦略差(品質/利回り/REIT扱い)が明確になり、選定の解像度が問われる。
VYMの基本(指数・コスト・構成)
連動指数:FTSE High Dividend Yield Index(米国パート、REIT除外)
経費率:0.06%(最新目論見書)
銘柄数:582(2025/6/30)
純資産:約610.78億米ドル(2025/6/30、ETF単体)
30日SEC利回り:2.57%(2025/7/31)
配当:四半期(例年3・6・9・12月)
上位10銘柄(2025/6/30)
- Broadcom(AVGO)
- JPMorgan Chase(JPM)
- Exxon Mobil(XOM)
- Walmart(WMT)
- Procter & Gamble(PG)
- Johnson & Johnson(JNJ)
- The Home Depot(HD)
- AbbVie(ABBV)
- Bank of America(BAC)
- UnitedHealth Group(UNH)
上位10の合計は25.4%。10年リターン(NAV、~2025/6/30)は年率10.47%。
- 金融:21.5%
- 資本財:13.4%
- 情報技術:12.3%
- ヘルスケア:12.1%
- 生活必需品:10.0%
- エネルギー:8.3%
SWOT分析
強み(Strengths)
- 経費率0.06%×582銘柄の広域分散で構造的に有利。
- REIT除外により株式配当の“純度”が高い。
弱み(Weaknesses)
- ITアンダー配分で成長一極相場では相対劣後しやすい。
- 直近のSEC利回りは2.57%と“超高利回り”ではない。
機会(Opportunities)
- 金利安定~低下局面でディフェンシブ×高配当の再評価。
- メガキャップの増配余地と株価牽引力を取り込みやすい。
脅威(Threats)
- 金融偏重のドローダウン。
- エネルギー価格変動や減配の連鎖が指数反映まで残る可能性。
競合他社との主要な財務指標比較
ETF | 主な戦略/指数 | 経費率 | 30日SEC利回り | 銘柄数 | REIT扱い |
---|---|---|---|---|---|
VYM | FTSE High Dividend(広域分散、REIT除外) | 0.06% | 2.57%(2025/7/31) | 582 | 除外 |
SCHD | 品質・増配重視(財務/収益性スクリーニング) | 0.06% | 3.7%台(2025/8下旬) | 約100 | 含む |
HDV | 財務健全性フィルタ | 0.08% | 3%台 | 約75 | 含む |
SPYD | S&P500高配当上位80(等重み寄り) | 0.07% | 4%台後半(2025/8下旬) | 約80 | REIT比率高め |
- インカム最大化ならSPYD。
- 配当の質・増配軌道ならSCHD。
- 広さと低コストの“土台”はVYM。
- HDVはディフェンシブ色を強化した中庸ポジション。
セクター比較
VYM:金融21.5%/資本財13.4%/IT12.3%/ヘルスケア12.1%/生活必需10.0%/エネルギー8.3%(REIT0%)
参考・S&P500:IT比率が約3割強で最肥大。VYMはITアンダー、金融・資本財・生活必需が相対的に厚めです。
VYMは成長一極相場では相対劣後しやすい一方、景気循環・ディフェンシブ局面では底堅さを発揮する“性格”。
今後の戦略と展望
- 指数設計の一貫性(REIT除外/年1回リバランス+バッファ)で“読みやすい”戦略が継続。
- 上位にメガキャップ(AVGO, JPM, UNHなど)が並び、配当+成長の両輪を担保。
- 金利安定~低下局面では高配当×堅実成長の再評価余地。
- 一方でAI主導の成長相場では、ITアンダーが逆風になり得る。
投資家にとってのメリットとリスク
メリット
- 低コスト×広域分散×REIT除外で設計が明快。
- メガキャップ配列により配当と成長の両立が期待しやすい。
- 配当スケジュールが明確で再投資計画(NISA等)を立てやすい。
リスク
- 利回りは中庸(SEC 2.57%)。短期で“厚み”を求めるならSPYD等。
- ITアンダーにより成長一極相場の取り逃し。
- 金融偏重の景気後退リスク、為替・税制の影響。
具体例:組み合わせで“土台”を強化
ケースA:安定重視のNISAコア
- コア:VYM 60%
- サテライト:SCHD 20%(品質・増配)、SPYD 10%(利回り上積み)、REIT 10%(金利低下局面の回収)
- 狙い:配当の“厚み”と“伸び”の両立+相場局面の揺れを平均化。
ケースB:成長相場への追随力を確保
- コア:VYM 50%
- 補正:市場平均(SPY等)30%でIT比率を補い、残りはHDVやセクターETFで守備力を上積み。
まとめ
VYMは「高配当の基礎体力を、低コストで、長く」という発想に合致する“土台ETF”です。
なぜ今語るか:金利の転換線上で配当の質×持続性が問われるため。
どう使うか:VYMをコアに、SCHD(品質・増配)/SPYD(利回り)/HDV(健全性)で目的別に補完する。
配当投資の勝ち筋は「額」より「続く理由」。指数設計・セクター重心・コスト構造という“理由”を積み上げているのがVYMです。
参考・出典
- Vanguard:VYM Fact Sheet(2025/6/30)/目論見書・公式データ
- Vanguard:30日SEC利回り(2025/7/31 時点)
- Vanguard:2025年 配当スケジュール(例年3・6・9・12月)
- Schwab:SCHD 公式(品質・利回り・経費率)
- iShares:HDV 公式(戦略・経費率)
- State Street:SPYD 公式(戦略・利回り・REIT比率)
- S&P500 セクター配分(参考)
※ 利回り・構成比・スケジュールは変動します。必ず最新の公式資料をご確認ください。
VYMのよくある質問
VYMはどんなETF?
米国大型株の高配当銘柄に広く分散投資する低コストETFです。四半期ごとに配当があります(REITは除外)。
VYMとSCHD/HDV/SPYDの違いは?
VYMは広域分散、SCHDは品質・増配重視、HDVは健全性フィルタ、SPYDは利回り寄り(REIT多め)です。
NISAでの注意点は?
米国源泉税と為替の影響に留意。配当再投資の可否やコストは取引先の証券会社で確認しましょう。
※本記事は情報提供を目的とするものであり、特定の投資行為を勧誘するものではありません。手数料、税金、為替、リスク許容度、投資目的をご確認のうえ、ご自身の判断で実行してください。
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